2008.07.08(Tue)
久々に映画です。
そして、久々に静かな感動と興奮が、ずっと体中を支配しています。
予告を見たとき、これは見なくては! と思っては見たものの、内容が良く分からなくて、雰囲気だけで見に行きましたが、アタリでした。
N.Y.の養護施設で育ったエヴァンの世界は、音楽でできている少年。いわゆる絶対音感の持ち主で、風が畑の穂を揺らす音も、木立も、バスケットボールをドリブルしている振動も、すべてが音楽として体中を駆け巡ります。
けれど、11歳の彼は、その音楽を、外に出す方法を知りませんでした。
彼は信じていました。
この音楽が、いつか、自分と両親をめぐり合わせてくれると。
だから、生まれてすぐに養護施設に預けられ、唯の1度も、家族からの連絡がないのに、母が迎えに来るのを待つことができました。同じ施設の悪ガキが、「親なんか来ないって認めろ!」と脅しても、彼は「迎えに来る」と言い続けました。
11歳のある日、ちょっとした出会いがあります。
新任でやってきた、児童福祉局の局員、リチャードとの出会いです。
彼とのやりとりは、ほぼ、他の局員と同じものでした。氏名と年齢の確認、引き取られてどれくらいか、施設での生活はどうか、養子縁組について、どう思うか、などなど。
けれど、リチャードが無意識に吹いた口笛に、エヴァンは興味を覚えます。
「それって、どうやるの?」
見よう見まねで口笛を吹くエヴァン。彼にとって、それは、今まで受け止めることしかできなかった音楽を、表現することができる、最初の方法でした。
そして、リチャードにとっては、エヴァンが唯の自分の管轄するエリアの施設の児童以上の存在として、心に残ったのでした。
エヴァンは11年前、音楽と奇跡によってこの世に生を受けました。
母親は当時新進のチェリスト。
父親は成り上がってきたばかりのロックバンドのヴォーカリスト。
二人は全く別々の境遇で、正反対の環境の中、自分の音楽を表現したその夜、偶然と、そしてストリートミュージシャンの奏でるささやかなハーモニカに導かれて出会い、そしてエヴァンが生まれたのです。
音楽の奇跡でこの世に生まれたエヴァンは、いつも音楽とともにありました。
そしてある日、決心します。
待ってばかりではだめだ。アクションをおこさなくては――。
エヴァンは、その夜、導かれるようにして、施設をあとにします。
音楽に導かれて。
母に会うために――。
ストーリーは天才少年が両親を探す、というシンプルなものですが、エヴァンの視点と、11年前の出来事、そして現在の両親の視点が織り成していくストーリーは、唯の親子ものというだけでなく、ラブストーリーでもあり、また、それぞれに人生の生き様でもあります。
唯純粋に、音楽を表現し、それを楽しむエヴァンに出会った瞬間、昔の情熱を思い出すミュージシャン崩れのマックスウェル。彼はエヴァンに、原題でもある「オーガスト・ラッシュ(8月の興奮)」という芸名を付けますが、彼にとって、エヴァンはなくなってしまった音楽(=生)の興奮そのものだったのかもしれません。
また、エヴァンの両親も、全く別の人生を歩んでいるにも関わらず、エヴァンが動き出したのと同じくして、それぞれが息を吹き返していきます。
人生と音楽がよみがえってきます。
エヴァンの才能に、嫉妬やらビジネスやら(これは主にマックスウェルですが)、そして人生に敗れた(というか恋に破れた)しかばね状態の男(これは主にパパですが)だとか、人の弱さや汚さも織り込まれているのですが、エヴァンはとにかく音楽に一途。そして其の一途さ(というか音楽だけっぷり)が、救いになり、強さになります。
エヴァンの音楽に皆が興奮し、活気付き、夢を見て、魅了され、そしてクライマックスまで突っ走ります。
そしていつも傍らに音楽!
風の音から都会の雑然とした喧騒まで、全てエヴァンの耳を通してスクリーンに音楽として描き出される様は見ていて鳥肌が立ちます。
サントラ欲しい!
役者もすごい!
まずエヴァン役は、「チャーリーとチョコレート工房」のチャーリー。いやもう可愛いしいとけないし、でも強いし、もうかわいー!(それだけかい) 見ているだけで癒されます。
母親のライラ役はケリー・ラッセル。あまり他の映画の印象はないですが、箱入り娘だけど芯が強く出しかも芸術家だー! っていう感じが伝わってくる人でした。
パパ役はリース・マイヤーズ。こちらも印象なかったです。喧嘩っ早いロッカーだけど、すんげー乙女思考というか、繊細君でロマンチスト。目でやられます(笑)。
ストリートキッズにストリートミュージシャンをやらせて上前をはねるマックスウェルはロビン・ウィリアム。ヨゴレ役を骨の髄まで汚れて、だけど人間らしい弱さと音楽への想いがあるんだよねー、と、憎めない魅力があるのは、やはり彼ならではでしょうか。
そんでもって児童福祉局局員リチャード役にテレンス・ハワード。ああこんな父親が欲しい! 私は彼に釘付けでした。
まだ上映始まったばかりなので、とにかく観て〜〜〜! と久々に思った映画でした。
>EntryTime at 2008/07/08 23:29<